瞑想

坐禅のことを英語でメディテーションというので、それを訳して海外で行われている坐禅を日本では瞑想と呼ぶことが多い。大きく分けると日本を含めた中国仏教系の寺院で行われている禅式の坐禅と、上座部仏教で行われているヴィパッサナ瞑想、それにチベット仏教系の寺院で行われている密教瞑想法の3つが仏教式瞑想の主流だ。ヴィパッサナもチベット式瞑想もたくさんの日本語書籍が出ているし、日本各地にセンターもできているが、特に少し前まで日本ではほとんど知られていなかったヴィパッサナ瞑想の流行ぶりには目を見張るものがある。無論「気づき」を基礎にしたこの瞑想法の単純明快で理路整然としていて、なおかつブッダ本来の教えを体感できる科学的なシステムが、「坐ることそのものが坐禅である」などという言葉に逃げて適切な指導を怠ってきた日本の坐禅に飽き足らない人たちの心を掴んだということもあるだろうが、中にはアジア旅行中にこの瞑想法を体験し、日本でも修行を続けたいと考えた人も少なくないのではないかと思う。

 

海外では上座部仏教寺院でもチベット仏教系寺院でも、外国人向けの瞑想コースを設けている寺が多いが、一方で西洋人にも良く知られている日本の坐禅を外国人が気軽に学べる寺は少ない。体験入門程度の坐禅会ではなく、アジアで瞑想を体験し、さらに日本の禅を真剣に学びたいと考えた外国人や日本の若者が坐禅できる寺を探すことは意外と困難だ。そんな中で兵庫県美方郡の安泰寺は、外国人を含む一般人に門戸を開いていることで西洋人旅行者にも良く知られている。

ヴィッパサナ瞑想

ヴィパッサナ瞑想という言葉が日本で一般的になる以前に出版された本の中では、ベトナム人僧侶ティック・ナット・ハン師の「禅への鍵」やカンボジア人僧侶マハ・ゴサナンダ師の「微笑みの祈り」(共に春秋社)にも、瞑想修行の基礎である「気づき」(パーリ語でsati)の重要性が繰り返し説かれていた。

安泰寺

「安泰寺禅僧対談」(佼成出版社)という本は、ネルケ無方師と、同じく安泰寺で修行された藤田一照師との対談であり、安泰寺という修行道場の特異性や、坐禅とヴィパッサナ瞑想の違いなど、興味深い話題が満載の内容だ。

スリランカで購入したヴィパッサナ瞑想についての英文解説書。
スリランカで購入したヴィパッサナ瞑想についての英文解説書。
タイで頂いた、タイ各地の瞑想寺院を紹介した英文案内ガイド。
タイで頂いた、タイ各地の瞑想寺院を紹介した英文案内ガイド。