インドで仏塔のことを「ストゥーパ」と呼ぶのは知っていたが、インド・ブッダガヤの日本寺境内に、インド様式の納骨堂ができた時、近所の子どもに、あれは何だと思う? と尋ねてみたら、ちゃんと「ストゥーパ」だと答えてくれた。
(文法的な法則の話は抜きにして、現代ヒンディー語の発音をカタカナで表記すると、「ィストゥープ」みたいな感じになる。)
ストゥーパの他に仏塔を表すサンスクリット語としては、先ず「チャイティア caitya」という言葉があり、パーリ語ではこれを「チェティア cetiya」と言う。タイ語で仏塔を表すチェディという言葉は、これが訛ったものだ。
ちなみにインドネシアではチャンディ、ミャンマーではゼディという発音になる。
ミャンマーには仏塔を表すパヤーという言葉があるが、ミャンマー型の仏塔を指すことの多い「パゴダ」という言葉はビルマ語ではなくて英語であり、語源は諸説あるが、スリランカで仏塔を表す「ダーガバ」という言葉が訛ったものだという説が有力だ。
英語では中国や韓国、日本の仏塔も含めてすべて「パゴダ」と表現する他、そのまま「ストゥーパ stupa」と表現する場合も多い。
ストゥーパが漢字で「卒塔婆」と音訳され、略されて「塔婆」、さらに略されて「塔」となり、現代日本語にも残っているということは周知の通りだ。
※「チャイティア」の概念や、「チャイティア」と「ストゥーパ」との違いについては、岩波文庫「ブッダ 最後の旅」193頁に、中村元博士による簡単な解説があります。
※一般的な仏塔の解説書としては「インド仏塔紀行」「中国仏塔紀行」」(長谷川周著・東方出版)があるが、さらに興味のある方は「仏塔の研究」(斎藤忠著・第一書房)を参照のこと。
⇒寺院建築については「僧院と僧坊」をご覧ください。
台湾の四大宗派の一つ・佛光山が出しておられる冊子シリーズの内の一冊「仏塔の由来」。
インド、中国、東南アジア、日本などの仏塔に関する諸々が、簡潔に紹介されている。
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