アジアの坊主人形

日本の托鉢人形のように、アジアの仏教各国でも門前の土産物屋などで、お坊さんや小僧さんの人形を売っていることが多いのだが、

仏教発祥の地であるインドでは、ヒンドゥー教の聖者の像を見かけることはあるけれど、仏教のお坊さんの人形を見ることはほとんどない。

一度仏教が滅んだ後、現在また増えて来たとは言え、全体からすれば圧倒的に仏教徒が少数派であるインドでは、まだ仏教僧が民衆の人気を得るほどには、仏教が根付いていないということだろうか。

(※アンベドガル像やグッズについては、下記の注を参照)

バンコクのサヤーム・スクエアにある

高級土産物店で見つけたもの。

昔ほど水上交通が盛んでなくなったとは言え、

タイでは今でもボートで托鉢する僧侶を

見かけることがある。

バンコクのワット・サケットで売られているマグネット

付き人形。

タイの僧侶がよく受け取る、

バケツ入りのお供養セットを持ったデザインが珍しい。

ベトナムで購入。

このようなタイプは各国で見かけるが、

中国やべトナムでは衣が黄色、

韓国ではねずみ色、タイではオレンジと、

各国の法衣に合わせて、色の違う作りになっている。

(※みうらじゅん氏がこの手の人形を「甘えた坊主」と命名していることについては、下記の注を参照)


台湾で購入したお坊さんキーホルダー。

右側はミャンマーで購入した仏弟子シン・ティワリ尊者の像。

(池田正隆著「ビルマ仏教」195ページ参照)

左はタイ製。シン・ティワリ尊者は、タイでもプラ・シワリと呼ばれて崇拝されているので、ミャンマーと同形の像をよく目にする。

韓国釜山の梵魚寺門前の仏具屋さんが、記念に下さった物



左は釜山の梵魚寺(ポモサ)門前で購入。腹部を押すと韓国語のお経が鳴る。

右はソウルの曹渓寺(チョゲサ)で購入。

韓国の寺院では、ブッダや小僧さんのキャラクターしばしば多用されている。

ちなみに、大阪の国立民族学博物館には、右のブッダ・キャラクター関連のグッズが展示されていた。



タイの坊主人形

バンコクのワット・スタットという寺の傍らに立つ大ブランコ、サオ・シン・シャー付近は仏具屋街として知られている。

坊主人形というよりは仏像や仏具が中心だが、ここでは旅行用の大型頭陀袋や屋外坐禅用の携帯用傘型蚊帳など、

お坊さんに必要な物が何でも揃うので、ここで坊主人形その他のグッズを探すのも楽しい。

インドの坊主人形

現代インドの仏教はアンベドガル博士が1956年に改宗して以来の新仏教徒が主流なので、お坊さんではない在家姿のアンベドガル人形やポストカード、キーホルダーなどは売られている。 

また、チベット仏教寺院も多いが、さすがにダライ・ラマ猊下のポストカードなどはあっても、その人形は作られていない。    

 

                            

アジアの坊主人形

上で、「ベトナムで購入」として紹介したタイプの坊主人形シリーズを、みうらじゅん氏は「いやげもの」(ちくま文庫)の中で「甘えた坊主」と名付けて、中国、台湾、韓国その他の国の土産物屋収集した人形を、たくさん披露しておられる。

また、いとうせいこう氏との共著「見仏記3 海外編」(角川文庫)でも韓国、中国、タイなどの坊主人形やお寺グッズを、いろいろと紹介しておられる。