上座部仏教のお経はパーリ語という言葉で書かれている。多少の訛りや抑揚の違いを除けば、上座部仏教国ではどの国でも同じお経を唱えている。その中でも特に有名ないくつかの経典は岩波文庫に収められており、「地球の歩き方 インド」の巻頭グラビアには昔から「ブッダの言葉 スッタニパータ」(中村元訳)の一部が引用されているから、インド旅行をきっかけにこの経典を読んだ人も多いかも知れない。
瞑想を指すパーリ語には「サマタ」「ヴィパッサナ」「バワナ」「カマタン」などがあるが最も一般的なのは「サマーディー」という言葉で、これは漢字に音訳されて「三昧」として日本でもよく知られている。
タイ語では外来語の濁音が半濁音や清音に変化するので「サマーディー」は「サマーティー」と発音される。三昧とは本来瞑想によって心が静かになった状態を指す言葉で禅定とも訳されるが、タイ語で坐禅をするという時には、「サマーティー」の上に何かをするという意味の「タム」を付けて「タム サマーティー」、もしくは坐るという意味の「ナン」を付けて「ナン サマーティー」と表現する。
仏教について英語で表現する時、パーリ語やサンスクリット語をそのまま使うことも多いが、キリスト教の用語を援用することもよくある。例えばお寺での朝晩の勤行(お勤め、読経)のことを言う chanting や service も元は教会の礼拝を指す言葉だし、僧侶の敬称である Venerable や Reverend も、本来はキリスト教聖職者の肩書きだ。
お寺に一定期間泊まって行う瞑想コース、修行コースを指す retreat という言葉は、旅行者でも比較的よく目にする仏教英語かも知れない。瞑想によって得られる「定」、即ち精神の安定状態は concentration、悟りのことは enlightenment と言う。また日本でお坊さんが手紙を書く時、文末に「敬具」や「草々」と書く代わりに「合掌」と記すことが多いが、英語では Yours in Dhamma(仏法と共に)、with Metta(慈悲を込めて)などと記す。以下に比較的よく使う言葉を表にしてみた。
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例えば「ヴィパッサナ」は「ピパッサナ」、「バワナ」は「パワナ」と発音される。ちなみにタイにはタマユット派という厳しい一派があり、この派ではパーリ語を本来の発音で使用する。
寺社に籠ることを指す「参籠」という言葉や、禅宗で一定の期間を区切って坐禅することを言う「接心」と言う言葉もあるが、日本語訳としては今ひとつしっくりしない。「行に入る」「行を終える」と言う時の「行」という言葉が比較的近いように思う。
一般の僧侶には Reverend、高位のお坊さんには Venerable を使うことが多い。それぞれ名前の前に付けて Rev.Ikkyu、Ven.Ikkyu のように表記する。
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